現場力インタビューVol.23「朝礼は簡潔に」
現場力作成者:葉隠勇進株式会社 江戸川区内の小学校の給食現場 井原 珠美さん
ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。
井原 珠美さんが責任者を務める江戸川区内の小学校給食現場では、毎朝朝礼を実施しています。今年度になって朝礼時間内での確認事項が増えてきて、あるとき社員から「大事な情報がかすんでしまう」という声が上がりました。そこで、朝礼で共有する内容を見直し、重要事項だけを簡潔に伝えるようにしたのです。
朝礼を見直したことで現場にどのような効果をもたらしたか、普段から現場力において大切にしていることは何か、現場力アドバイザーとしても活躍する井原さんに詳しくお話を伺いました。
※現場力アドバイザーとは、ソシオークグループ全体に改善文化を育て、現場力を「点」から「線」、「面」にする役割
――今回の現場力レポート「朝礼は簡潔に」の取り組みのきっかけを教えてください。
きっかけは、同じ現場で働く社員からの「朝礼での共有事項が多くて、大事な情報が記憶の中でかすんでしまいそうです」という一言でした。
朝礼では、その日のアレルギー対応食についての確認を中心に、調理から配缶までの工程や、器具、食器等の確認、本社からの共有事項など多くのことを伝えます。今回の社員からの言葉を受け、情報の優先順位や共有方法を改めて考えることになりました。
――普段の朝礼の様子について教えてください。
毎朝10分くらいかけて行っています。特にアレルギー食対応については、除去すべき食材がお皿に入ると命に関わるので、念入りに全員で共有をするようにしています。
具体的には、まず栄養士先生から当日のアレルギー対応についての指示が書かれたカードを受け取り、その日の盛り付け担当者が内容を読み上げます。次に、厨房内のホワイトボードにアレルギー対応が必要な児童について書かれているので、その内容と読み上げられたカードの情報を社員全員で照らし合わせて間違いがないか確認します。最後に、責任者が献立の盛り付け方を確認する際、アレルギー食対応についてももう一度触れます。10分間の朝礼のうちアレルギー食の確認には3~4分かけていますね。
これに加えて、各自の役割の確認なども共有していたのですが、アレルギーのような優先事項の記憶と混ざることが社員からの話で分かりました。そのため、朝礼で読み上げることをやめて、壁に貼るなどの改善をしました。
――朝礼を簡潔にしたら、どのような効果がありましたか?
全員が、大事な情報を記憶に残しやすくなったと思います。社員からも「アレルギー対応に集中できるようになった」「確認事項がたくさんあると混乱するので、優先すべきことを伝えてくれてありがたい」というように、仕事がやりやすくなったという意見が寄せられています。たった1分足らずの改善なのですが、情報への集中しやすさが変わったようです。
――普段みなさんは、現場力にどのように取り組んでいますか?
社員みんな「現場力」という言葉を初めて聞いたとき「現場力?何だろうそれは」って何となく難しそうなものだと感じていました。そこで私は、「みなさんが『こうしたら良いんじゃないか?』と提案してくださることが現場力になるんですよ。なので、気になったことは全部言ってください」と、社員に話しました。
そうすると、今ではどんな小さな気付きでも伝えてくれるようになり、問題を未然に防ぐことにもつながっています。
――井原さんが現場力において特に大切にしていることは何でしょうか?
社員のみなさんの声を放っておかないことです。せっかく言ってくれたことに対して何もせずそのままにしておくと、次第に「言っても言わなくても何も変わらない」ってみんな諦めてしまうと思うのです。だから、言われたことには必ず返事をします。
みなさんが気になったことを言いやすくなれば、コミュニケーションが良くなり、現場の雰囲気も明るくなりますよね。現場力がどんどん増えることによって、働きやすい現場になっていくと思うので、これはすごく大事だと思います。