「はじめての学校給食」に新一年生が慣れるまで、配膳の課題を「おにぎり給食」で改善
給食に慣れていない新一年生の課題「配膳に時間がかかり食事の時間が少なくなる」
新宿区立戸塚第二小学校の給食の時間は午後12時15分から12時55分。その40分の間に給食を食べるだけでなく、給食当番の児童は白衣を着用したり配膳や後片付けなども行います。入学したばかりの新一年生は、白衣を着ることに手間取ってしまうなど準備に時間がかかるため、食事の時間が短くなってしまう課題がありました。
準備の中でも新一年生にとって難しいのが「配膳」です。まず、均等に配るということが難しく、どれぐらいお皿に盛り付けたらみんなが均等に食べられるのかということもまだ分かりません。
また、子どもたちは「しゃもじ」に慣れていないため、ご飯の盛り付けに苦労します。一年生担任の原優里菜先生は、「しゃもじでご飯を盛ろうとするとご飯がピョンと上に跳んでしまうこともありました」と話します。
葉隠勇進調理員の田村久子さんは、「配膳に時間がかかることで、結局食べる時間が短くなってしまうのです。教室の先生方も大変だし、子どもたちもやっぱり慣れていないので大変。何とか解消できたらいいなっていうのは、前々から思っていました」といいます。
おにぎり給食の工夫と改善の効果
戸塚第二小学校では配膳に時間がかかることを改善するために、給食が始まったばかりの4月中に2日間、1年生のご飯をラップに包んだおにぎりとして提供しました。配膳することが難しいご飯をおにぎりにして提供したことで、自分たちで量を考える必要もなくなり、盛り付けにかかる時間も減りました。
原先生は、「ご飯をおにぎりにしていただいたことで、子どもたちが配膳する時間が5分くらい短縮できて、その分ゆっくり給食を食べることができました」と話します。「配る量があらかじめ決まった形で出てきているし、おにぎりを配る係の子もしっかりと配れた達成感を得られて、良いことがいっぱいあります」。
栄養士の大村理枝子先生は、「おにぎりの日は、元々使用する予定だった食器は3種類でしたが、1年生だけラップで包んだおにぎりだったので、使う食器を1種類少なくできて、片付けも楽になったという効果もありました」と副次的な効果もあったといいます。
食品ロスにも貢献
おにぎり給食の日は食べ残しもほとんどなく、食品ロスへの貢献にもなりました。配膳に慣れていない子どもたちは、「どのくらいの量を食べられるのか分かっていない」ため、前半の子に多く盛り付けてしまったり、自分が食べられる量以上の量を「たくさん盛り付けて結果的に残してしまう」こともあります。おにぎりにすることで、適量を均等に配ることができ、残食を減らすことになりました。
また、中には見た目で食わず嫌いしてしまう子もいると原先生はいいます。「例えばお赤飯みたいに豆がたくさん入っているご飯をお椀に盛ると、苦手意識からあまり食べなくなってしまうことがあります。でも、そういう子でもおにぎりだとよく食べてくれることがあるので、視覚的な効果があるのかと思います」。
「配膳とかに難しさを感じることで給食を苦手になってほしくないと思っています。ゆっくり食べて楽しい時間にしてほしいからおにぎり給食というのはすごくいいなと」と田村さんはいいます。
新宿区立戸塚第二小学校 小関俊介 副校長先生のコメント
「給食には、野菜や果物や魚など様々な季節の食材が出ます。食べる食材の種類を増やすためにも大事だと思います。調理員さんが限られた食材でいつもおいしく調理してくれるおかげで、子どもたちにとっても、給食の時間はとても楽しみな時間になっています」