【学校給食の舞台裏】大量調理の学校給食ができるまで。知恵と工夫で細部へこだわる葉隠勇進の現場
子どものときに食べた給食、自分の子どもが今食べている給食。小学校の給食がどうやって作られているのか給食室の中を知る機会は多くありません。全国で学校給食の調理を手掛ける葉隠勇進の調理現場から、学校給食ができるまでとそのこだわりをお伝えします。
7月、神奈川県内にある小学校は給食最終日。朝7時を過ぎると学校の栄養士の先生、葉隠勇進の調理員が集まり、淡々と準備が始まりました。最終日の今日のメニューは「ぶどうぱん、きびなごフライ、ゆでとうもろこし、クリームスープ、牛乳」です。
この学校では社員3人パートナー社員6人で一日約700食を作ります。学校の大きさにもよりますが、葉隠勇進が担っている小学校では、少なくて200食ほど、大きい学校では1000食以上を作ることもあるそうです。そのため食材も大量。山積みの箱で届いた野菜の下処理からスタートします。
■学校給食の舞台裏① 食材の下処理
大量調理の学校給食ができるまでに葉隠勇進のこだわりがたくさんありました。完成したメニューからは見えない「学校給食の舞台裏」をご紹介いたします。
こだわり1:徹底した虫の排除
調理室では、早速この日のクリームスープに入る葉物を一枚一枚チェックしていました。子どもたちが給食を「美味しい」と食べるその笑顔を守るためにも、給食に虫が入ることは絶対に防がなければなりません。ただ学校給食の特徴として生鮮品は基本的に「当日納品・当日使用」をしています。また、食育の観点からも地場産野菜を多く使用することもあります。そうなると、新鮮な野菜に多くの虫が集まり、混入の危険性が高まります。
その混入を防ぐために一枚一枚丁寧にチェックしてきます。実際にこの日も小さな虫を発見しました。学校によっては、「虫図鑑」という独自の取り組みを行っている事業所もあります。https://www.hagakure.co.jp/company/features/genbaryoku/genbaryoku-02/
こだわり2 大量の皮むきとスピード
仕込みで大事なのが大量の皮むきです。この日はじゃがいも60キロくらい。事業所の責任者である社員(葉隠勇進ではチーフと呼びます)は「野菜が多い日は200キロもの野菜を仕込むんです」と教えてくれました。
この工程が終わらないと次の切る作業に入れないのでスピードも重要です。チーフはたんたんと私の質問に答えながらあっという間にじゃがいもの皮をむき、芽をとっていきました。じゃがいもの芽は「子ども達が安全においしく食べてもらうためにも、確実に取り除いています」といいます。専用の器具で丁寧に取り除いていき、気づけばあっという間にボールの上にはじゃがいもが積み上がりました。
■学校給食の舞台裏② 調理:切り方や器具のこだわり
こだわり3:子どもが喜び、食べたくなる切り方の工夫
下処理を終えて、エプロンを着替えて、チーフが黙々と調理台に向かって作業をしていたのはニンジンの型抜き。ニンジンを薄く切り終えたあと、そのままではなく、「星形・ハート形」へと型抜きをしていました。小さなニンジンを少しずつ。手の平には型抜きの跡がくっきり残っていました。
「子どもたちの喜ぶ顔を思えば痛くない」そうです。「今日は学校給食最終日なので、ニンジンもそのままではなく、いろいろな形にして子ども達に楽しんでほしいと思い型抜きにしました。型抜きをすることで野菜が嫌いな子どもにも興味を持ってもらえたらうれしいですね」と話してくれました。
切り抜いた外側の形をみた調理員さんから「これは白鳥にも見えますね。子ども達は案外こっちのほうが喜ぶかも」というコメントも。調理員のみなさん、子ども達がどうやったら楽しめるかを考えながら調理しているのかが伝わってきます。
こだわり4:刃こぼれチェック
子ども達が大好きなとうもろこし。けれどもカットするのは力がいる作業です。その分包丁も傷つきやすい。包丁の刃こぼれチェックは通常では、使用前・中・後に確認で、硬い物を切る際はこまめに確認しています。
こだわり5:冷蔵庫の工夫「見える化・専用の取っ手」
学校給食は限られた時間で大量の調理をします。冷蔵庫のどこに何が入っているか、何時に何バット使うかを見える化することで、間違いを防ぎ、効率もあがります。
冷蔵の工夫として、この小学校では魚を出すときに別の取っ手を使っている点も紹介します。魚を扱う人が冷蔵庫の取っ手を触ると汚染されてしまいます。そこで、専用の黄色い取っ手を取り付けるという工夫をしました。これは葉隠勇進の現場力レポートで報告されて以来、多くの現場で取り入れられています。
こだわり6:7色のエプロン
調理室に入ってすぐに気づくのはそれぞれ別々の色のエプロンをつけていることです。葉隠勇進では7色のエプロンを用途によって使い分けています。例えば、「赤」は魚・肉を扱うとき、「緑」は配缶と加熱処理など。「青」は調理や下茹でなど加熱前の作業。「濃い緑」はアレルギー食などです。
■学校給食の舞台裏③ 加熱調理
加熱調理で登場するのが大きな釜。学校給食の魅力である「大量調理」の現場でしかお目にかかれません。
今日の献立ではとうもろこしをゆでて、きびなごを揚げ、クリームスープを煮込みます。大きな釜に大きなかなべらで調理する姿は壮観でした。この姿を子ども達に見せてあげたいとも思いました。
こだわり7:細かい異物混入防止チェック
とうもろこしをゆでるときには使用する網のほつれや異物のつまりがないかを事前に入念にチェックします。
■学校給食の舞台裏④ 配缶
給食室内の調理と並行して、牛乳とパンを各クラスごとの分量に分けていく配缶作業があります。二人体制で大量の牛乳を流れるように分けていきます。その日によって欠席者もいるので、数を念入りに確認しながらも、限られた時間の中で、数を間違えないように、2人でダブルチェックをしながら作業をします。
こだわり8:温度チェック
調理した料理は配缶後すぐに子ども達が食べ始めるわけではありません。そのため、子ども達が食べるときにちょうどよい温度になっているように温度をしっかりと計測し、配缶を行います。中心温度85度以上になっているかの確認を3カ所。高温で分離してしまう豆乳が入っている場合は75度で一分以上計測するのがルールです。
一つ一つのこだわりに、できるだけ子ども達に美味しく食べてもらいたいという想いが込められています。
こだわり9:アレルギー対応
子ども達の中には食物アレルギーのある子がいます。そのためアレルギー除去食は分ける必要があります。葉隠勇進では、それだけではなく器具もアレルギーと分けています。例えば、温度計もアレルギー対応専用の中心温度計を用意しています。
■学校給食の舞台裏⑤ 子ども達への受け渡し
配缶が終わったらアレルギー対応食も含めて検食を行い、その後、子ども達が給食室に取りに来ます。子ども達は嬉しそうに「今日はなんだろうー」と話しながら今日のメニューの見本を見て「魚は一人三本だね」と確認して、食缶を運んでいきます。
■学校給食の舞台裏⑥ 洗浄・清掃
そしてようやく一息とはいかず、この後、大量の洗浄・清掃がまっています・・・。
こだわり10:
掃除に使用するスポンジも用途別に名前をつけ色分けをしています。掃除が終わったら塩素につけこんで干して帰ります。
すべての洗浄と清掃が終わるとようやく一息。ただ、社員のみなさんはこの他に事務作業もあるそうです。学校給食の舞台裏には見えないところにたくさんの知恵と工夫が、そして子ども達においしい給食を届けたいという熱い想いがありました。
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